アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「ほら、お湯張ったからお風呂入れるよ」
「ん……」
短い返事をして、モソッと上半身を起こし、床に落ちているはずのTシャツを探して視線を泳がせたが見当たらない。
さっき、大都が全部片付けたんだ……。
これは、気を利かせて片付けをしたなら怒ってはいけない。でも、悪戯の確信犯なら怒ってもいいはず。
「何か羽織る物が欲しいわ」
「お風呂、入るんだろ?」
キョトンと 目を丸くした大都は、自身も裸で申し訳程度に腰にタオルを巻いているだけだ。
そうだ、コイツ裸族だった。
服を着ていない状態がテンプレートなのかも……。
私も似たようなものだけど、それは御一人様限定仕様だ。
「ねえ、バスローブ持って来てくれる?」
「わかったよ。しょうがないな」
と、言ったはずの大都は何を思ったのか、私の横に立ち、上掛けをペロンと剥がす。
「なっ⁉」
全裸をさらし、焦りまくった私の背中に手をまわした大都は、膝裏にも手を入れて、ヒョイと持ち上げる。
肌と肌が密着して、はわわな状態だ。
「なにしてんのよ!」
「あはは、連れて行って上げるから大人しくして、暴れると落としちゃうかもよ」
「もう、ワザと服片付けたでしょ!」
胸を両手で隠しながら大都を睨みつける。すると、大都はニヤリと口角を上げ一言。
「親切だろ?」
コイツ、確信犯だ!