アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!

 「ほら、お湯張ったからお風呂入れるよ」

「ん……」

 短い返事をして、モソッと上半身を起こし、床に落ちているはずのTシャツを探して視線を泳がせたが見当たらない。

さっき、大都が全部片付けたんだ……。

これは、気を利かせて片付けをしたなら怒ってはいけない。でも、悪戯の確信犯なら怒ってもいいはず。

「何か羽織る物が欲しいわ」

「お風呂、入るんだろ?」

キョトンと 目を丸くした大都は、自身も裸で申し訳程度に腰にタオルを巻いているだけだ。

そうだ、コイツ裸族だった。
服を着ていない状態がテンプレートなのかも……。
私も似たようなものだけど、それは御一人様限定仕様だ。

「ねえ、バスローブ持って来てくれる?」

「わかったよ。しょうがないな」

と、言ったはずの大都は何を思ったのか、私の横に立ち、上掛けをペロンと剥がす。

「なっ⁉」

全裸をさらし、焦りまくった私の背中に手をまわした大都は、膝裏にも手を入れて、ヒョイと持ち上げる。
肌と肌が密着して、はわわな状態だ。

「なにしてんのよ!」

「あはは、連れて行って上げるから大人しくして、暴れると落としちゃうかもよ」

「もう、ワザと服片付けたでしょ!」

胸を両手で隠しながら大都を睨みつける。すると、大都はニヤリと口角を上げ一言。

「親切だろ?」

コイツ、確信犯だ!
< 59 / 211 >

この作品をシェア

pagetop