アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
一緒に暮し始めてから、私はペースを乱されて、自分らしくないことばかりしている。
大都は、私が長年守り続けたテリトリーにスルスルと入り込み、頑なに守っていた殻をいとも簡単に壊してしまった。
「でも、由香里が誰かと一緒に暮し始めるなんて、よっぽどその人と気が合うのね」
愛理の言葉に思わず首を傾げた。
「気が合うって言うのかしら? 振り回されているようにしか感じないんだけど」
「由香里が振り回されるなんて、意外過ぎる。どんな人なの?」
「親戚の子って言っていたけど、本当は母の3度目の結婚相手の連れ子だったから元義理の弟になるの」
愛理はキョトンと丸い目をして、プッと吹き出す。
「あら、私たち気が合うのね」
愛理のお相手も離婚した夫の弟、すなわち元義理の弟だ。
「最初は、クソ生意気で本当にムカついたんだけど、一周回って可愛く見えて、今は自分にムカついている。年下の元義理の弟だなんて、やっかいな関係に手を出すなんて私的にアウトだったのにね」
「由香里を振り回す年下の彼と何歳離れているの?」
うっ、この質問は答えにくい。
「……8歳」
「8歳!」
愛理の丸い目がますます丸くなる。肩をすくめた私は自虐的につぶやいた。
「8歳年下とか、自分でもどうかしているって思うわ」
「年齢が気になるのも最初だけだよ。女性の方が平均寿命が長いんだからちょうど良いかも」
「愛理ってば、気の長い話しをするのね。私は今だけの関係だと思っている」