アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「カッコいいと思うわ」
 
 と、言ってはみたものの、いきなり入っていた情報に私は自分が思っていたよりも動揺していた。
 BACKSTAGEというグループのダンサーHIROTOが大都だという認識はあった。それに、有名な歌番組に出ていたのも見た。
 だけど、私の中で大都は、元義理の弟で、今は恋人という位置づけだ。
 生身の人間というか、ただの真鍋大都であって、仕事としてBACKSTAGEというグループのダンサーHIROTOをやっているといイメージで、その先にある物を想像していなかった。

こうして雑誌に出たり、TVに出たりして、たくさんのファンから熱い視線を浴びているのだ。

 次のページをめくると、白いシーツの上で横になっているHIROTOの隣にモデルのキレイな女の子が寄り添っている構図だ。

 仕事……だと、わかっているのにまるで浮気現場の写真でも見せられたみたいな複雑な気持ちなって、胸の奥がモヤモヤする。

「このページ、綺麗だけど受け止められない」
「だよね。ちょっとショック」

 松本さんの言葉に福田さんも同意する。
 私のように恋人の写真ならいざ知らず、ふたりからはただの芸能人のHIROTO。グラビア写真にショックを受けるとは意外だった。

「芸能人相手でもそんな風に思うの?」

「それはそうですよ。アイドルは心の恋人ですもの」
「グループ内のケミなら大歓迎だけど女の影はイヤですよ」

「でも、松本さん、恋人いたよね」

 私は疑問を口にした。でも、松本さんは胸を張って力説する。

「リアルの恋人と心の恋人は、別腹です!」

 松本さん! HIROTOを食べないで!
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