アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
休憩するはずがまったく休憩にならなくて、私はコーヒーを片手にヨロヨロと事務所へ戻った。

そして、松田さんと福田さんの熱い布教活動により、フォローしたツイッターやインスタ、果てはティックトックなどのアプリをため息混じりに眺める。
フォローしたといっても、私個人のアカウントではなく、エステサロンmodérationの公式アカウントだ。

個人だとストーカーの如く、大都を監視しているようで、怖いような気がしたから。
本音は、大都のことを気にしているのを本人にバレるのが恥ずかしいのだ。
まあ、スゴイ数のフォロワーを抱えている人気グループが、フォローした人をチェックするとも思えない。気にしないで個人のアカウントでも良かったのかも……。

ポチッとインスタのアプリを開くと、BACKSTAGEのメンバーなのだろうか、数人の男の子たちとHIROTOが、学生のようなノリでわちゃわちゃしている写真がUPされていた。
画面をスクロールしていく。すると、笑顔のHIROTOが誕生日ケーキを中心に仲間に囲まれている写真が出て来た。

「楽しそう。みんな若いな……雑誌に出ていた女のコも若かったな」

胸の奥がツキンと痛い。
いつの間にか、心の大半を埋め尽くしていた大都。同じ空間を分け合える素敵なパートナーだと思っていた。
けれど、大都にとっての私なんて、誕生日を一緒に祝って欲しい人では無かったんだ。

恋人同士と思っていたのは私だけで、都合の良い女だったのかも知れない。

そんな考えが頭を過り、スマホの画面を暗くして、机の上に伏せた。
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