アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
カードキーで部屋のドアを開けて、私は玄関の上がり框に下ろされた。
 苛立ち紛れにパンプスをポイポイと脱ぎ捨てる。そのパンプスを大都が拾い、揃えて置いてくれた。
そして、座っている私に顔を近づけて来た大都がニヤリと笑う。

「あれこそ、ただの仕事じゃん。っていうか、気にしてくれていたんだ」

くっ、なんか一本取られたようで悔しい!

ジタバタしていると、再び、ヒョイッと持ち上げられ、お姫様抱っこの状態でリビングまで運ばれてしまう。
ソファーに座った大都は、私を膝の上に乗せたまま、何かを思い出したようにしゃべり出す。

「そういえばさ、今日発見したんだけど、由香里のお店の公式アカウントからフォローしてくれたよね」

えー、あのフォロワー数なのにチェックしてんの?
そして、私がフォローしたのがバレてる……。
笑ってごまかせ!

「あはは」

「あー、もしかして俺の誕生日の写真……見た?」

「あははは」

「そっか、それで由香里は不安になったんだ。ごめん」

大都の腕に力が籠もり、ギュッと抱きしめられた。

「21歳ってことを強調するようで、誕生日を由香里に知られるのがイヤだった。年齢とか気にしないでいて欲しかったけど、実際気にしてんの俺の方だ。さっきの男にだって若いとか言われて、イヤだったし、嫉妬もした」

 少しは反省しているけれど、私の気持ちは収まらない。ないがしろにされたみたいで本当にショックだったんだから。

「じゃあ、しょうがない。私に誕生日を知られるのイヤなんでしょう。私の前では、ずっと20歳でいてください。あー、永遠の20歳なんてイイなぁー(棒読み)」

大都は「はぁー」と大きなため息を吐いた。

「俺ってがっかりするほど、ガキだろ? 幻滅した?」

「幻滅なんてしませんよー。ただ、私は彼氏だと思っていた人から、誕生日すら一緒に祝う価値の無い女だと思われていたことが、悲しかっただけでーす」
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