アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「ごめん」

大きな手が私をなだめるように背中をさする。

「大都が他の人たちと楽しそうに誕生日祝いしている写真を見たら、私なんて、誕生日を一緒に祝う資格すら無い……部屋貸して、SEXして都合のいい女の扱いで……だから、大都と別れようと思った」

そのときの気持ちを思い出すと、うるうる涙が浮かんで来た。お酒の力も手伝って、今日の私は思っていることが素直に口からでる。

「ごめん。俺が悪い。都合のいい女とか思って無いから……」

大都の大きな両手が私の頬を包み込み、指先で涙が拭われた。そして、コツンと額と額を合わせる。

「本当にごめん。でも、俺、一度思い込んだらしつこいし、別れるとか言っても、どこまでも追い駆けて由香里のこと逃さない。別れるなんて無理だからあきらめて」

「……ストーカー宣言?」

一気に酔が覚めるようなことを言われて、私は目をパチクリさせた。

「愛の告白」

大都はクスッと笑い、チュッと唇をついばむ。私の髪を梳くように、節のある指が髪に絡んだ。

「愛してる。誰にも渡さない」

そうつぶやいた大都の綺麗な瞳が私のことを魅了する。

「初めて……聞いた……」

「忘れないように、これからは何度でも言うよ……愛してる」

そして、逃さないと言った言葉の通りに、大都の手が私の頭を押さえつけ、何度も何度も唇を甘く喰まれる。

それはまるで、大都に捕食されているような感覚。それなのに抵抗する気持ちにすらならない。

悪戯を仕掛けるように、大都の舌が私の唇の間から、ぬるりと忍び込み、歯の裏や上口蓋を舐められた。自分の舌とは異なる感覚にゾクリと官能が走る。
蕩けるようなキスをして、やがて甘い息が上がり始めた。
< 86 / 211 >

この作品をシェア

pagetop