アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!

頭が痛いです

「ん……」

 人の動く気配で意識が覚醒してくる。
 モゾリと寝返りを打ち、手を伸ばすが、横に居るはずの人が居なかった。
 代わりに頭の上から声がかかる。

「あ、ごめん、起こしたかな? まだ、早い時間だから寝てていいよ。二日酔いして無い?」

「うん」

「俺、仕事に行くけど、由香里の起きる時間に連絡入れるから、安心して二度寝して」

 布団がはだけて剝き出しなっていた肩を覆うように、上掛けが引き上げられ包まれる。
 ぬくぬくとした温かさが心地良くて、睡魔に誘われ目が開かない。

「ありがと……」

「じゃ、行ってくる。今日も遅くなるけど帰ってくるから、誰かに付いて行ったらダメだよ」

 小さな子供に言い聞かせるような優しい声がして、頬にふわりとキスを落とされた。そして、耳元で囁かれる。

「愛してる」

「!?」

 パタンとドアが閉まり、部屋にはひとりきりの状態。
 酔いがすっかり抜けたシラフの状態で”愛してる”と囁かれた私の顔は、熱が出たときのように熱い。鏡で見たらきっと真っ赤になっているだろう。
 一気に目が覚め、バタバタとベッドの上で身悶えた。
 そして、キスをされた頬を手で押さえた私の頭の中で、昨晩の醜態が無声映画のように流れ始める。

「ひゃあー」

 お酒は飲んでも飲まれるな。
 そんな言葉が頭の中を駆け巡り、私は頭を抱えた。 
 
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