飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「月寄と組む」

 
 そしてなんの前触れもなく、中志津くんが言った。


「えっ?」


 つきよせと、くむ?
 

「……あと古木」

「え⁉」

 今の〝え⁉〟は私じゃなくて、近くにいた古木くん。

 八木澤さんは頭にはてなマークを浮かべながらもニコニコしていて、入江さんは目を見開いて中志津くんを見ている。


「……他に組みたいやついんの?」


 中志津くんは冷たくもない、温かくもない口調で私と古木くんに言った。

 他に組みたいやつ……?

 私が首を左右に振ると、同時に古木くんも首を左右に振っていたらしく、中志津くんが「じゃあ決定で」と言った。


 ん? あれ? 班、組めた……⁉


 展開の速さについていけず呆然としていると、そこに八木澤さんが明るい笑顔で入ってくる。


「じゃあ私とセイラと月寄さんで女子三人だからちょうどいいね♪ わーい月寄さんよろしく~!」


 そう言って八木澤さんに手を取られてブンブン握手される。


「う、うん……!」


 わぁ、わぁ~~~っ!

 何もしてないけど、班が組めたぁ~~~!

 嬉しい! 嬉しい~~~!


「はー……」


 お祭り騒ぎになろうとしていた私の心に、小さく聞こえたため息が水を差した。

 ……入江さん。


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