飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「ねっ、セイラ! 三人でいっぱいまわろうね♪」

 八木澤さんに笑顔で言われた入江さんが、愛想笑いして「うん」と言う。

 
 途端に心が黒いモヤに覆われて、気持ちがどんどん落ちていく。

 
 入江さん……私と組むの、嫌なんだろうな……。


 胸の中に嫌な感じがする。

 
「ねーさっきの見た? 響くん、月寄さん誘ってた」


 またどこからか聞こえてはいけない女の子の声が、耳に届いた。

 その口調には明らかに嫌悪感が含まれていて、悪い意味でドキッとする。
 

「えーショック~! 結局顔かよ~!」

「いいなー顔がいいと得だよね~」


 ……
 

「響くんってモテるのに普段女子と話さないよね。月寄さん狙いだったからってこと?」

「うわ、萎える……響くんの株下がったわ」


 心にまた一つ、重たい何かがのしかかる感覚がした。

 ……自分の株どころか

 中志津くんの株を、下げてしまった。

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