飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 動揺する私を見て満足げな顔をする(しん)


 どうやら遊ばれている。

 うぅ……ムカつく……。

 まんまと顔を熱くさせちゃってる自分が本当に腹立たしい。

 一方でコンロの使い方もいまいちわかってないらしい超料理初心者に、色んな意味でドキドキしてしまう。
 
 
(しん)、やっぱり私がやるよ……!」

「ダイジョブダイジョブ~ナントカナルネー」


 なぜか片言で言う(しん)の、おぼつかない手つきにヒヤヒヤドキドキは止まらない。


「あれだろ? 塩入れるんだろ?」


 そうどや顔で言うと、(しん)は塩が入ったケースを取り出してグツグツと沸き立つ鍋に塩を入れる。

 ……ひとつまみだけ。


「……ちょっと少ないかな」

「あ、ほんと?」


 (しん)は手のひらに塩をこんもりのせた。


「それは多い!」

「え~?」


 小言が多いな、とでも言いたげに顔をしかめる超料理初心者。
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