飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「…………告白みたい」


 私は小さな震える声で言った。


「うん。告白ー」


 コンマ1秒で返ってきた、信じられないくらい塩味なYES。


「……」


 そんな、サラッとした告白、ありますか?


 私は沸き立つ気持ちを(しん)のシャツを掴む手にギュッとこめる。 


「……軽い」


 ひどく軽いよ、夏宮さん。


 ははっと笑った軽い人は、また適当に塩とニンニクチューブを入れた。

 途端に良い香りが立ち込める。


 ……本当に、なんて罪な人なんだろう。


 何かが込み上げそうになるのを、(しん)の背中に自分のおでこを押し付けて、耐える。



 ……本気の告白だったらよかったのに、なんて思ってしまったこと。

 絶対に、絶対に言うもんか。





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