飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 そうしてなんとか完成した、和えるだけのパスタとベーコンとキャベツのソテー。
 
 いつものように私の対面に座って足を絡めてくる(しん)は、ニコッと笑う。


「召し上がれー」

「……いただきます」

 
 そういえばこのパスタソース、(しん)が来る前に一人で食べたな。

 あんまりおいしくなかったんだよなぁ、と思いながら口に運ぶ。


「……あれ?」


 そう言って眉間にしわを寄せたままモグモグする私を、(しん)が見る。


「……おいしい」


 すっごくおいしい。

 泣いちゃいそうなくらい、おいしい。


 かたまるわたしに(しん)がニッと笑う。


「ほらね。 なんとかなった」

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