飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 えぇ? なんでだろう……?

 特別なことは何もしてない、いまいちだった安いパスタソースのはずなのに。


「どうして……?」


 パスタを見つめて考え込む私に、(しん)がフハッと笑う。


「そりゃ愛をたくさんこめましたから」

「……愛」

「うん。愛」


 (しん)がアイドルみたいなキラキラな笑顔とともに指ハートをしてみせた。


「フフッ、愛かぁ」


 (しん)の笑顔のかわいさに、私は力が抜けてしまう。


「愛っておいしいね」


 笑いが止まらなくなる私に、(しん)は「そうだよ」と優しく笑う。


「大体のことは気持ちでなんとかなるもんだよ」

「気持ちかー……」


 不意に今日あったなんとかできなかったことを思い出す。


「……気持ちがあれば、仲良くできるのかなぁ」

「ん?」


 (しん)が無垢な目で首を傾げた。


 ……そうだ。

 コミュ力お化けの(しん)に聞けば、人間関係がうまくいくヒントを教えてくれるかも。


「……あのね。今日ね」


 私は(しん)に、今日班決めの時にあったことを話した。
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