飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
屋上はサンクチュアリ
「そうは言ってもなぁー」
私は心の言葉を思い出して、昨日の雨が嘘みたいな清々しいスカイブルーに本音をもらした。
お昼休みの、屋上。
ここは、私が学校で唯一本当の自分で居られる場所。
私は扉横のいつもの定位置に座って、からっぽになったお弁当箱を閉じた。
すぅ、と大きく息を吸って酸素を体中に取り込んでから、溜め込んでいたいろんな我慢を思い切り吐きだす。
「はぁー……」
……いまのところ〝仲良くなりたいから話そう〟という言葉を、誰かにかける勇気は出せてない。
クラスメイトのみんなは相変わらず挨拶をすれば動揺を返すし、昨日陰口を言っていた女の子たちの視線は冷たいし、入江さんに至ってはなるべく私と関わらないように距離をとってるみたいで。
私は相変わらず、その全部にヘラヘラするだけで、授業についていくのに精一杯で、こうしてお昼休みにはいつものように逃げてきてしまって……
とんだポンコツ。
ちなみに今朝は、早く家を出てネックレスを探してみたけど、やっぱり見つけられなかった。