飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 

「なに笑ってんの」

 
 

 ⁉



 なんの前触れもなく降ってきた声に驚いて、顔を上げた。



「……えっ⁉」



 上から覗き込むようにして私の顔を見ていたのは、ポーカーフェイスなクラスメイト。

 
「なかちっ、なか、中志津、くん⁉」
 

 かみまくりながらその人の名前を言って、後ずさる。

 動揺を隠しきれない私と反対に妙に落ち着いてる中志津くんは、無表情で「うん」と相槌を打った。


「え⁉ え⁉ いつの間に⁉ って、あれ? ここ、立入禁止……っ」

「生徒が立ち入ることを禁ずる」
 

 中志津くんは律儀にドア前に貼ってあった注意の内容を教えてくれた。


「そう! そうだよ! 入ってきちゃダメだよ!」

「うん。 ダメだよ」

 注意したら注意された。

「うっ、えっ、ごめ……えっ⁉」


< 125 / 327 >

この作品をシェア

pagetop