飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ここは私だけのサンクチュアリ、屋上。

 立入禁止の屋上の鍵が壊れてるのを知ったのは、入学してすぐ、用務員の人と先生の会話をたまたま盗み聞いたから。

 入学してからほぼ毎日お昼休みをここで過ごしてるけど、他にここに寄りつこうとする生徒はいなかった。

 ……なのに、いる。

 中志津くんが、いる。 めっちゃいる。

 いや、中志津くんは一人なんだけど、めっちゃ、いる。


「月寄、いつも昼休みいなくなるから気になってて。 つい」

「つい……?」

「つい」


 ポカンとする私をよそに、中志津くんは私の定位置であるドア横の陰に腰かけた。


 あ、座るんだ?

 
「昼休み、いつもここにいんの?」


 言いながら中志津くんは、持っていた紙パックのコーヒー牛乳にストローを刺した。

 
「……そうです」


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