飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ……てっきりこんないい場所独り占めしてずるい、とか、言われるかと思った。


「こっち来て座れば? そこ暑いでしょ」

「へ、はっ、はい」


 私は言われるがまま、中志津くんの隣におずおずと腰掛けた。


「……」
 

 中志津くんはストローをくわえてボーッと空を眺め始める。


「……」
 

 思えば、昼休みにこうして誰かと一緒にいるのは、入学以来初めてだ。

 なんだかくすぐったい。


「……」


 私も中志津くんと同じように空を眺めてみる。


「……」


 ……静かだ。

 なんだろう、中志津くんって独特の空気感がある。

 こっちまでぼーっとしてくる。


「……」


 ひたすらに沈黙。

 ズコッと中志津くんの紙パックが鳴った。


「……」


 そういえばさっき、『つい』って言ってたけど……中志津くん、私となにか話したくて来たのかな……?


「……」


 はっ!

 中志津くん、まさか、もしかして、まさかもしかして私のことを、す、す、す……⁉︎
 
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