飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……班」

「ひゃぃっ!」


 突然中志津くんが口火を切ったので、驚いて大袈裟な返事をしてしまった。

 中志津くんはそんな私を一瞥するだけして、特にコメントすることなくコーヒー牛乳に視線を戻した。


「……班、勝手に決めてごめん」

「えっ?」

「あの時、月寄の意見も聞かずに決めちゃったから」


 ――月寄と組む


 班決めの時のちょっと強引な中志津くんを思い出した。


「あ……あー、確かにビックリはしたけど、全然大丈夫だよ」

「……ほんとに?」

「うん! 入れてもらえて助かった! 実は、組めなかったらどうしようってすごい不安だったんだ」


 私がへへ、と情けなく笑ってみせると、中志津くんの空気が俄かに柔らかくなった。


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