飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……ならよかった」


 息を吐きながらそう言った中志津くんはやっぱり無表情なんだけど、なんでも受け止めてくれそうな安心感をまとっていた。


 ……聞いてみようかな。


「あの……どうして私を誘ってくれたの……?」

「……」

「えっと、その、あんまり話したことなかった、し」

「……」
 

 中志津くんは沈黙して、飲み干したコーヒー牛乳を見つめながら何か考えこみはじめてしまった。

 
 あ、やっぱり聞いたらまずかった……?

 は! そうだよ、もし本当に私のことす、好き、とかで、誘ってくれてたんだとしたらこの質問の答えって告白になっちゃう……⁉︎

 それは、困る!

 や、本当にそうだったとしたら正直言ってこんなかっこいい男の子に告白なんてされるの少女漫画みたいで嬉しいし最高だけど、でも、中志津くんのことよく知らないし中志津くんも私のことよく知らないだろうし最近の私は(しん)のことがきになってて、まぁそれは恋愛感情かまだわからないけどとにかく(しん)で頭がいっぱいだからなんて返事したらいいかわからないし、つまり、困る……‼︎

 撤回! 撤回しよう!

 そう心に決めて息を吸った時、中志津くんが先に口を開いた。
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