飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「表面的……」

 ということは……

「悪化してたんだ。 見えないところで。 (しん)はそれに気付けなかった。 多分ケンジは脅されてたんだ、チクったらもっとひどいことするぞって。 結局ケンジは転校した。 『お前のせいだ』って、(しん)に言い残して」

 
「…………ひどい」


 だってそれ、(しん)は何も悪くないのに。


「……俺もそう思った。 一番悪いのはいじめてたやつらなのに、なんでそいつらじゃなく、(しん)が責められなきゃいけないんだって。 でもケンジは(しん)に当たらなきゃいけないくらい辛かったんだろうし、(しん)も自分のせいで優しいケンジをそんな風にさせた、転校させてしまったって、自分を責めてた」


 
『みんな面倒なものは見て見ぬフリしたり、何食わぬ顔で手抜いてうまーく生きてんの』



「……」
 


「多分それから。 (しん)がいろんなことに期待するのをやめて、すぐに諦めるクセがついたのは」



『凛は全力で受け止めてもがいてるから、うまくいかなかったら辛いし苦しいし、落ち込むんだよ』



「必死になって、逆に誰かを傷つけてしまったときの虚しさを知ってるから」
 

 
『何にでも一生懸命で全力な凛はかっこいいよ』



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