飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「いいじゃん、行くわ!」

「うん、来てー。そんでオバケから俺のこと守ってくれ」

「あはは!やだよ!」

「えー」


 ……夏宮くん、すごい。

 さっきまでの不穏な空気はなくなって、和やかな楽しいだけの空間になった。

 コミュ力おばけって、夏宮くんみたいな人のことを言うのかもしれない。

 私を含め、きっと今この場にいるみんながほっと胸を撫で下ろしている。

 
「古木も来てよ」

 
 そう付け足された夏宮くんの一言が、あたたまったはずの場の空気を再び凍らせた。

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