飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
泣きそうな気持ちでそう言うと、入江さんが苛立った顔で振り向く。
「……あのさ。今見せたよね? ここに証拠が、」
「入江さんの字じゃない」
迷いのない声で言った私に、入江さんは目を大きくして動きを止める。
「入江さんの字、達筆で、もっときれいだもん。 それに大事なメイク道具をそんな風に使ったりもしないと思う。 ましてや車に落書きなんて、そんな子供っぽいことしない」
「……するかもしんないよ?」
「ううん。 絶対しないよ。 だって入江さん、まじめで優しいもん」
私は入江さんのことを、全然知らない。
でも、同じ班になって少なからず分かったことがある。
入江さんは派手な見た目をしてるけど、すごく真面目。
班の決め事とか、やらなきゃいけないことには人一倍真面目に考えて発言してくれるし、仲良しの八木澤さんだけじゃなくて古木くんや私にもたくさん気を遣ってくれる、優しい、優しい人。
教室に入ってきたクモを殺そうとする男子を制して、怖がりながらそっと外に逃がしてあげるような人だ。
そんな人が、先生への報復で車に落書きなんて子供じみたことするとはどうしても思えない。
「……あのさ。今見せたよね? ここに証拠が、」
「入江さんの字じゃない」
迷いのない声で言った私に、入江さんは目を大きくして動きを止める。
「入江さんの字、達筆で、もっときれいだもん。 それに大事なメイク道具をそんな風に使ったりもしないと思う。 ましてや車に落書きなんて、そんな子供っぽいことしない」
「……するかもしんないよ?」
「ううん。 絶対しないよ。 だって入江さん、まじめで優しいもん」
私は入江さんのことを、全然知らない。
でも、同じ班になって少なからず分かったことがある。
入江さんは派手な見た目をしてるけど、すごく真面目。
班の決め事とか、やらなきゃいけないことには人一倍真面目に考えて発言してくれるし、仲良しの八木澤さんだけじゃなくて古木くんや私にもたくさん気を遣ってくれる、優しい、優しい人。
教室に入ってきたクモを殺そうとする男子を制して、怖がりながらそっと外に逃がしてあげるような人だ。
そんな人が、先生への報復で車に落書きなんて子供じみたことするとはどうしても思えない。