飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……ぶはっ」


 入江さんが噴きだした。


「あはは! それそんな一生懸命言うこと?」


 入江さんがあまりにも笑うので、恥ずかしくなって顔が熱くなってくる。


「フフ、いいよ。話そ。あたしも月寄さんと、仲良くなりたい」

「!」


 そう言った入江さんの表情は、いつも向けられていた苦笑いじゃなくて、なんの邪気も感じられない可愛い笑顔だった。


「っ……!」


 私はギッと歯を食いしばって、顔を横に背けた。


「ん?」


 やばい。


「ゔ……っ、ゔれ゛じい゛~~~‼」


 私の目から、大量の涙が溢れだした。


「え⁉ ちょ、ちょっとなに泣いてんの!?」

「うわぁ~~~ん‼」

「ちょ、泣い……ぶはっ! キャラ! 高嶺の花キャラ崩れすぎだから!」

「そんなんじゃないじぃ~~~‼ わたし、ポンコツなんだからぁ~~~‼」

「あーはいはい、わかったわかっ……あはは! 顔ブッサ! そんなブサイ顔できるんだ! あはは‼」

「入江さん笑いすぎぃ~~~‼」

「あっはは!」


 号泣する私と、目尻に涙を浮かべて爆笑する入江さん。

 はたから見たらかなりおかしな図だ。


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