飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

定位置

 マンションの階段を上がって、時刻は十八時になろうというところ。

 家のドア前に立った私は、いつものように鞄のポケットをあさってカギを取り出した。

 左肩には豚ひき肉、ニラ、キャベツと餃子の皮などが入った買い物袋。

 あ。 餃子包むの、手伝ってもらおうかな。

 器用な(しん)のことだから、すぐにコツを掴んで私より速く上手に作っちゃいそうだ。

 作りながら今日の話、聞いてくれるかな。

 私はニヤける顔をモニュモニュと揉み込んでから、鍵穴に鍵を差した。


 ガチャッ。


「ただいまー」


 ……

 あれ?


 バタンッ。

 私の背後でドアが閉まった。


 ただいまって、ちゃんと言えてしまった。

 いつもなら途中で阻まれて、今ごろ(しん)の腕の中にいるはずなのに。


「……(しん)?」

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