飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「…………あ」


 充電が、切れている。

 (しん)が隣にきてその画面を一緒に覗き込む。
 

「「……」」


 最後に見たの、いつだっけ?
 
 
 目を細めた(しん)は、私のほっぺをみゅっと引っ張った。


「みゃっ」

 
 痛いっ。

 
「人間に戻る手掛かり探しに行ってたんだよ。 帰ったときまだ凛は帰ってないと思ったら、なんか一回帰ってきてるっぽい形跡あるじゃん? 気になって街中探して、ようやく見つけたと思ったらいつぞやのナンパ野郎にまたひっかかってるし。 なんなの? 凛、どんだけ街中駆け巡るの好きなの? やめてくんない? 心臓に悪いから!」


 言いたいことを全部言ったらしい(しん)は私の頬から手を離して、フー……と床に息を吐いた。


「…………それで」


 (しん)は俯いたまま、今度は私の手首を掴んだ。


「それで凛は、なにを探しに行ってたの」
 

 切ないような、もどかしいようなその声に、私は息の仕方がわからなくなる。

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