飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「…………マジ?」

「……」

「やば……」


 (しん)は顔を隠す私の腕をそっと退けた。


「……すっごい嬉しい」


 そう言って私の頬に手を添えて、顔をまじまじと見はじめる。

 
「う、やだ、見ないでっ」

「は? かわいい」

「っ……う」


 恥ずかしさに耐えかねた私は逃れようと身じろぐけど、(しん)の大きくて熱い手はちょっとやそっとじゃ離してくれそうにない。

 その間にも顔の熱はどんどん、どんどん上がっていく。


「……凛」


 いつもとは違う、目にいっぱい愛しさみたいなものを含ませた(しん)が、少し熱を帯びた声で囁いた。
 

「キスしていい?」


「っ、⁉」


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