飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「月寄さぁーん!」


 そのとき、後ろの方から女の子の声がして振り返る。
 

「八木澤さん」

「あったよ! ドライシャンプー! はい!」

 八木澤さんは満面の笑みでドライシャンプーを差し出してくれる。

「え⁉ 買ってきてくれたの⁉」

「うん! そこの売店にあったから! どうぞ~♪」

 そう言って顔を緩ませた八木澤さんの屈託ない笑顔は、どっからどう見ても、天使。

 紛れもなく、天使!
 
 
「ありがとう……! 使わせてもらうね! あ、お金! いくら?」

「や、いいよいいよ! 私が勝手に買ってきちゃったし!」

「そうはいかないよ! 今日のために頑張って用意してきたお金でしょ? これで足りるかな?」

 私はお財布から1000円札を取り出した。

「わ、なんかごめんね。 ありがとう~! お言葉に甘えさせてもらいますっ!」

「お礼を言うのはこっちだよ! ありがとう!」

 八木澤さんと二人、えへへ、と笑い合う。

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