飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 キョンの低い声が、ほんの少しだけ開いた窓の隙間から飛び込んできた。

 その声のトーンからただならぬ雰囲気を感じて、とっさに窓から手を引っ込める。

 
「……さぁ?」


 (しん)の、気の抜けた返事が聞こえる。

 
「猫に変身したら制服が残るはずだろ。猫の(しん)が持っていくのは不可能だし、通学路に制服が落ちてたら絶対誰かが気付くはず。だけど見つかってない。もちろん(しん)の家にもない」



 ……もしかして、(しん)が行方不明になったときの話……?


 (しん)はキョンが話すのを黙って聞いている。


「つまり、誰かが意図的に持ち去った」

「……」

(しん)を猫にした、犯人?」



 ……!



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