飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……おっさんに手柄横取りされんの、ムカつくじゃん」

「……なにそれ」


 理由が可愛い。
 

「結局どこにあったの?」

「……側溝」

「え⁉」

 側溝って、道路横にある排水が流れるところ⁉

「そんなとこ入ったの⁉」

 私が目を丸くすると(しん)がクハッと笑いだす。

「あそこはやばかった、おすすめできない。 まぁ見つかったからオールオッケー」

 (しん)は面白そうに話してるけど、側溝の中に入るなんて相当大変だったはず。
 
 彩人くんの話では泥だらけだったって言ってたし……あの日、どうにかして家で体を綺麗にしてから私を探しに来てくれたのかな。

 
「……どうしてそこまでして……」


 確かに私にとってはすごく大切なものだけど、(しん)にとってはただのネックレスでしかないはず。


 (しん)は柔らかく微笑んだ。

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