飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 私も。

 私も(しん)が大切。

 すごく、大切。

 だから(しん)に、この気持ちをあげたい。

 生まれて初めて持ったこの気持ちを、(しん)にあげたい。

 もっと素直に、可愛く言えばいいのに。

 どうしてちゃんと言えないんだろう。

 伝わるかな。

 私の気持ち、受け取ってくれるかな。
 


「……」

 
 (しん)はしばらく太陽のモチーフを見つめたまま固まっていたけど、ゆっくりと視線を私に戻した。


 ……! 


 さっきまで穏やかだったはずの(しん)の目が、今にも泣きだしそうな、苦しそうにすら見える目に変わっていて。



「心……?」



 私は、見たことない(しん)の表情にビックリして、目が離せなくなる。

 
「…………いる」

 
 (しん)は小さく掠れた声でそう呟いて、靴箱の上に置いてあった予備のチェーンを持ちだすと、私の手にのる小さな太陽をチェーンに通す。

 そしてネックレスの両端を持って、私を見た。

 
「つけて」

「……」


私は黙ってそれを受け取って、顔が熱くなるのを感じながら(しん)の首元に手をまわす。


 ……どうしよう。息の仕方、わかんないかも


 必然的に近くなる距離に、全身がくすぐったくなるような感覚に襲われる。
 
 胸のドキドキが手元にまで及んで、手がうまく動かせない。

 そうしてる間も(しん)はずっと私を見つめてくる。

< 221 / 327 >

この作品をシェア

pagetop