飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「え⁉ 心……⁉」


 近くにいた清水くんの声を合図に、クラス中が驚嘆の渦に巻き込まれる。


「嘘だろ!」

「え⁉ ほんとに心⁉」


 行方不明だったはずの心の突然の登場に、クラスメイト達は興奮を口にしながら次々駆け寄ってくる。


「おー。みんなひさぶりー」


 大興奮のみんなと反対に気の抜けた声で手を挙げた心は、やっぱりどこからどう見ても普通の人間の姿で。


「ほんとみんな心配してたんだぞ! いったいどこで何してたんだよ!」

「あー、なんか事故って頭打って記憶失くして? たまたま居合わせた人に助けてもらってー的な?」

「なんだその漫画みてーな話!」

「これがマジなんだよなー」


 みんなに囲まれる心は無邪気に笑って、息を吐くように嘘をついている。


「心……!」


 みんなが嬉しそうにする中で、キョンがひとり殺伐とした空気で心の肩を引いた。


「おー、キョン。〝久しぶり〟」

「っ……、どういうことだよ。どうやってー……」

「しーんっ♡!」


 キョンの声を遮るように、心の腕に女の子が飛びついた。


 ……!
 
 
< 244 / 327 >

この作品をシェア

pagetop