飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……っ」

 この子が、この無邪気な子が、心の体を……?

 私はグッと拳に力をこめて、ニコッと笑ってみせた。

「ありがとう、紗英」

 紗英が、何をしでかすか全く予想できない。

 いま私に抱きつきながら、何を考えてるんだろう。

 頭の中で私の想像を超える何かを考えてるのかもしれないと思ったら、恐怖で背筋が凍った。

 そしてふと、視線。
 
「…………へー。」

 無機質な目と、目があった。

 それはほんの一瞬で、すぐに心は響に視線を戻すと、目を細めて口角をあげた。

 
「おめでとー」

 
 ……満面の笑みで、祝われてしまった。
 
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