飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

太陽の居場所

 私はフラフラと、女子トイレから出た。

 騒動の後、やってきたセイラに根掘り葉掘り聞かれて笑ってごまかすのを、見抜こうとする鋭いセイラに白い目で見られながら体育の授業。

 マット運動でポンコツを発揮する私に、「やる気出せよ」と冷たい声を浴びせる中志津ファンと、「浮かれてないでちゃんとやりなさい」とニヤニヤいじってくる先生。
 
 自由練習の時間に、青白い顔でトイレに行きたいです、と抜け出してようやくひとりになった今、色んな意味での疲れがどっと押し寄せた。

 心、笑ってたな。

 それも普通過ぎるくらい普通に笑って、『おめでとう』って……。

 響は〝いい感じ〟って言ってたけど……私には脈なし中の脈なしに見えたよ。

 廊下を歩きながら、泣きたい気持ちになる。

 はぁ……今日のお昼、どうしよう。

 憂鬱な気持ちで廊下の角を曲がった。


「!」


 体育館へ続く渡り廊下。

 その柱のひとつに寄りかかってこちらをまっすぐに見据える男の子がいた。


「……心……?」


< 261 / 327 >

この作品をシェア

pagetop