飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「心は昔からえぐいモテ方してたけど……どんな女子に言い寄られたって友達といるほうが楽しいからってほとんど相手にしてこなかった。そんな心が、その日見かけただけでちょっと嬉しそうにしてたり、あんなコミュ力お化けなのに緊張して自分から話しかけられなくて怖気づいてたり」

「……響……」

「びっくりするよね。いつもなんでもそつなくこなす癖に、全然だめになってて」
　
「……ねー……」


　それ、誰の話？


　響が、泣きそうな顔をする私を見た。


「……それが恋じゃなかったら、なんだって言うんだよ」


「っ……」
　

「初恋だよ。　それもすごい不器用な、初恋」


「嘘だよ……」


「俺が凛に嘘つく意味、ある？」


「……」


　……ない。

　きっと響は、そんな残酷な嘘をつかない。