飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 私はスーパーには寄らずにまっすぐ家に帰ってから私服に着替えると、洗濯物を取り込むだけして、再び家を出て人でごった返す駅前の方へと向かった。

 まだ仕事中のスーツの人、ゆっくり歩く杖をついたおじいさん、かたまってはしゃぐ派手な髪色の人たち。

 たくさんの色んな人が行きかう中を、私は無意識のうちに、茶色がかった髪の、少し気だるげな歩き方をする男の子を探していた。


 ……そんな簡単に見つかるわけないよね。


 私はため息をついて、駅前のモニュメント近くに腰かけた。


「待った?」


 突然そう声をかけられて、ハッと顔をあげた。

 そこには、


「あっ、すみません。未来の彼女がいたんで声かけちゃいました~」


 全然知らない男の人がいた。


「……え?」

 未来の彼女、とか聞こえたような……?

 私の顔を覗き込むその人は、釣り目で、髪色を金色に染めて耳にはピアスが光り、彩人くんより少し若い大学生くらいに見える。

「はは!ごめんごめん、冗談だよ。びっくりさせてごめんね。ずっとかわいい子が一人でうろうろしてたから気になって。どうしたの?探し物?」

 その人は私に断りもなくニコニコしながら隣に腰かけた。

 初対面と思えない近さが怖くて、私は少し横にズレる。

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