飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「そう怯えないでよ。俺いつもこの辺フラフラしてるからさ。困ってるなら助けてあげたいと思っただけだから。なんか探してるなら手伝ってあげるよ?」

 いつもこの辺に……?

 だとしたらこの人、なにか知ってるかも。

「あの……高校生の男の子を探してるんです。昨日のこのくらいの時間からいなくなっちゃって……」

「男の子?どんな子?」

「えっと……髪はサラサラで少し茶色っぽくて、目は大きめでかっこいい子です。身長は……えっと……私より10センチくらい大きくて……」

 あとは、なんだろう、夏宮くんの特徴……

「……太陽みたいな子です」

「ははっ、太陽みたいな子?明るいってことかな」

「まぁ……そんな感じです」


 自分で言っときながら、ちょっと恥ずかしくなる。


「……あっ」


 その人がなにか気が付いたような顔をした。


「あの子かも」

「え⁉夏宮くん知ってるんですか⁉」

「うんうん、夏宮くん。さっき会ったわ」

「え⁉本当ですか⁉どこで⁉」

「あっちの店の方にいたよ。会いたい?連れてってあげるよ」

「あ、待ってください、えっと、誰かに……あっ、先生に知らせないと、」

 ただのクラスメイトの一人である私が迎えに行ったら、きっと夏宮くんもなんで?ってなっちゃうよね。

 私は急いで連絡しようとスマホを取り出した。

 けど、その手を男の人に掴まれて阻まれる。

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