飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ありがたいことに、じんわりと私の誤解がほどけていってる。

 私はもう以前のように愛想笑いすることが減っていた。

 ありのままでいられるだけで、こんなに空気がおいしいなんて思わなかったな。

 私は教室の扉に手をかけた。


「おはよー」

「あっ、月寄さん」


 もう挨拶しただけで動揺が返ってくることもなくなった。

 クラスメイトの女の子が、私に自然な笑顔で駆け寄ってきてくれる。


「月寄さん、これ見て!うちの猫~!この前赤ちゃん生まれたんだー!」


 スマホ画面に、生まれたての小さな猫の赤ちゃんが5匹並んでる。


「うっ!かわいい!目が潰れる~!」

「ふふふ、ほらほら見て見て~」

「いやぁ~!目が‼目がぁ~!」

「いや、月寄さんキャラ変やば(笑)」

 
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