飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ……こんな風にクラスメイトとふざけ合える日が来るなんて、ぼっちの時は思いもしなかった。


「ふへへっ」


 嬉しくて頬を緩ませると、それを見た女の子たちがピタッと動きを止めた。


「……?」


 あれ?なんか変なことしちゃった?

 不安に駆られていると、女の子の一人が私の肩に手を置いた。


「……月寄さん、それはダメだわ」

「え?」

「私いま、女子なのにときめいちゃった。なんか今新しい扉開けそうになったもん」

 一人が言うと、他の子たちもうんうんと同意する。 

「彼氏いてよかったよね。こんな美少女でしっかりしてそうなのに実は抜けてるなんて……こんなモテを集めて一緒に煮詰めたような子がフリーだったら学校が戦場になるところだったよ」

 コンナモテを、煮詰め……?

 私が眉間に皺を寄せて、聞いたことのない食材『コンナモテ』について懸命に頭を巡らせていた時、ガラガラッと背後の扉が開いた。


「あっ。噂をすれば。彼氏来たよ、月寄さん」


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