飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……!」

「月寄さん?どうしたのー?」


 声をかけられてビクッと振り返る。

 さっき猫の話で盛り上がっていたクラスメイトの女の子たちが、不思議そうに私を見ている。
 

「あ……えっと、いまね、」


 もう一度窓の外を見たけど、その猫はいなくなっていた。


「……なんでもない」



 『いいないいなぁ、そんなかわいい猫ちゃんになれるなんてー』



 ……紗英は、猫になりたかったのかもしれない。

 

 ふと、まだ姿を表さない彼女のことが気になって、私はすぐそこにいる響に声をかける。


「響。今日、セイラは?」

「あー……うん。今日も朝から探してるっぽい」

「……そっか」


 セイラにも、全部話した。

 ビックリしてたけど、ちゃんと信じて受け止めてくれて、大変だったねって泣きながら抱きしめてくれた。

 セイラと友達になれて、心の底からよかったなって思う。

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