飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
パシッ
「!」
手首を掴まれて、引き留められた。
「どこ行くの」
手首にあるのは、私のより少し大きい、ゴツゴツした手。
「……え」
まっすぐに私を捉える澄んだ目と目が合って、全身の血がザワッと、沸騰する。
私の手首を掴む心の図に、周囲はあっけにとられて時間がとまってる。
そしてその時、私は初めて、失くしたと思ってた太陽が心のシャツの下で揺れてることに気が付いた。
「っ、それ……っ」
心がふ、と優しく微笑んだ。
次の瞬間、グイッと引き込まれた私は心の胸に飛び込んでしまう。
「⁉」
「ねぇ、忘れてない?」
教室が混乱の渦に巻き込まれる中で、心は私の肩に腕を回して私を逃がさないように閉じ込める。
驚きすぎて動けなくなる私の耳元で、心は甘い声で囁いた。
「凛の定位置、ここでしょ」