飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 そのままトタタタター!と奥の方へ駆けて行ってしまう。


「わ!わ!待って!待って猫ちゃん!」


 私は慌てて靴を脱いで、その後を追いかける。

 肉球の形に足跡が付いている。

 後で掃除しなくちゃ、と泣きたい気持ちになりながら、猫ちゃんが行ったキッチンの冷蔵庫の方へ向かう。

 猫ちゃんは生き生きとした顔でこれ!これ!と示すように手でテシテシ冷蔵庫の扉を叩いて私にアピールする。

 きっと相当お腹がすいてるんだろう。

「わかったよ、わかった!何か出すからとりあえず足を拭こう!」

 私は猫ちゃんのお腹に手を差し入れて、向き合う形で抱き上げた。



 ボフンッ!



「⁉」

「うわっ」



 軽い爆発音、男の子の声。

 大きな何かの重みに押されて、私はリビングのカーペットの上に背中から転んだ。

 そして突然のことに思わず閉じていた目を、

「……?」

 わずかに、開ける。

 そこには信じられない光景が広がっていた。


 
「あれま」

 
「な」



 超至近距離に、太陽。



「夏宮くん⁉︎」


「やっほー」


 夏宮くんが、いる。

 夏宮くんがいま、まさに目の前にいる。

 信じられない気持ちで、私は視線を下におろして状況を確認する。


「……」


 押し倒されてる。

 全裸の、夏宮くんに。
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