飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「……は？マジ？」

「やっ、ち、ちちちちちちが、ちが、」

　うまく口が回らなくなってしまった私に、夏宮くんがあからさまに不機嫌を顔に滲ませる。

「ふーん。凛はああいう包容力ある系の優しそうな男がいいんだ？ほー」

「ちが、違うってば！」

　また部屋から出てきて彩人くんを見ようとする夏宮くんを、必死で押し戻す。

「凛は禁断の恋に燃え上がるタイプか。へー」

「しー！しー！違うって！いいから戻って、静かにしてて！お願い！」

　小声で叱責する私に夏宮くんの冷ややかな視線が刺さったとき、「凛ー？」と彩人くんの声がした。

　私は「はーい！」と大きめの返事をしてから、口を尖らせる夏宮くんに小声で「とにかくいい子にしててくださいっ、あとで埋め合わせするので！」と手を合わせて部屋の扉を閉めた。