飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 奥の部屋に消えた夏宮くんは、お父さんの服にもぞもぞと袖を通しながら戻ってくる。

 そのギュッと詰まった眉間には、まだまだ不機嫌が混ざっているみたいだ。

 早く夏宮くんの胃袋を満たしてあげなければ……!

 私は急いでキッチンに向かって夏宮くんのハンバーグをお皿に盛りつける。

 すると後ろから伸びてきた、手。


「ひゃあ‼」


 腕の中に閉じ込められて、例のごとく叫び声をあげる私に、もはやなんのリアクションもしない夏宮くん。 


「あのおっさん、凛にベタベタ触りすぎじゃね?」

「な、夏宮くんがそれ言う……?」

「ねえ。その『夏宮くん』ってやつ、そろそろやめて」

「え? やめてって……?」

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