飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 凛はもう寝てるよな。

 ちょっとだけ触らせてもらおうか。

 寝てるところを触りに行くのは気が引けるけど、背に腹は代えられない。

 俺はベッドから飛び降りて、凛が眠っている寝室へ向かう。

 廊下に入るとすぐ、左手側の扉が凛の部屋。

 扉はしっかりと閉じられていて、立ち上がって手を伸ばしてみても、ドアノブは届かない。

 ……さて、夏宮心改め、猫宮心の腕の見せどころ。

 そこに置いてあった段ボールに目をつける。

 俺はダンボールを横から頭で押して扉の横まで移動させると、その上に飛び乗ってジャンプしてドアノブに飛びつく。


 キィ……

 よっしゃ、開いた。


 悲しいかな、どんどんこの体の使い方がうまくなってきてしまってる。

 失礼しますよー……っと。


 ドアの隙間に身体をねじ込んで中に入ると、ベッドの上ですやすやと静かな寝息をたてる、眠り姫。



「……かわ」



 やべぇ、声出た。


 凛は寝息とともにゆっくりと布団を上下させている。

 起きそうにない凛の様子に安心して、俺はそっと近づいていく。
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