飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 うわ、まつ毛なっが。 口ちっちゃ。 整い過ぎててもう人形みたいなのに、ちゃんと息してる。

 凛の無防備な姿は、学校での高嶺の花キャラとのギャップも相まって、なんというか、やばい。

 ……うん。

 変な気が起きる前にとっとと触って退散しよう。

 俺は布団から少しだけはみ出てる凛の指にちょん、と前足でさわった。


 ボフンッ!


「ん……」


 変身した拍子に、凛がもぞりと動いた。


 !


 反射的に背筋をピンと伸ばして固まる、全裸の俺。


「……」


 凛は眉間にしわを寄せて俺の方に身体をコロンと倒したけど、幸い、目を開ける気配はない。

 俺はちいさく安堵を吐く。
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