飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 ……よし、凛が起きる前に、と思った、次の瞬間。

 
 凛が俺の人差し指を掴んだ。


「!」


 驚いてビクッとする俺にかまわず、凛は眉間の力を緩め、

 
「…………フフッ」

 
 へにゃっと笑った。
 

「か……っ」


 また意図せず声を漏らしてしまって、開いてる手でバチッと自分の顔を押さえた。


 ちょ、

 ちょっと、月寄さん。


 俺は天を仰いで、悶えそうな気持ちをやり込める。

 
 ……思春期男子をなめてんのか? あん?
 

 そっと指を離させようとするけど、その力が案外強い。

 無理に取ろうとしたら起こしてしまいそうで、怖気付いた俺は、凛の眠りが深くなって自然と手が離れるのを待つことにした。

 その時間を潰すため、目を閉じて考え事を始めることにする。
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