Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~
夜叉さんの運転は恭介さんのものより荒々しい。何かを考えるように片腕でハンドルを握っていた。
特に互いに口を開くことはない。静寂が流れる。その時間が私の頭を冷やすにはちょうどよかった。
今一度恭介さんの様子を思い出す。初めて見せた彼の拒絶。鎖骨から全身に伸びる黒薔薇の模様。そして苦しむ様子。
「夜叉さんは、恭介さんが何故ああなったのか知ってるんですか?」
「……アイツが不老不死なのは知ってるよな?」
「はい。ずっと昔から生きていると聞きました」
「アイツは新月の一日は死に値する激痛に襲われる。それがアイツに与えられた不老不死の黒薔薇の呪い」
死に値する痛み、か。
ぎゅうっと膝に置いたリュックを抱きしめる。
「呪いを解く方法はないんですか」
「あるさ。だけど……これを聞いたならオマエは呪いを解かないだろうなァ。加えて自分を嫌悪する」
車が止まった。学校に着いたのだ。シッシッと夜叉さんは追い払うような仕草をする。もっと問い詰めたいけれど助手席から降りて、ありがとうと頭を下げた。
「それでも聞く決心がついたならまた俺のところに来な」
開いた助手席の窓から夜叉さんは私を見ながら言った。返事をする間も与えずに彼の車は急発進して行ってしまった。
特に互いに口を開くことはない。静寂が流れる。その時間が私の頭を冷やすにはちょうどよかった。
今一度恭介さんの様子を思い出す。初めて見せた彼の拒絶。鎖骨から全身に伸びる黒薔薇の模様。そして苦しむ様子。
「夜叉さんは、恭介さんが何故ああなったのか知ってるんですか?」
「……アイツが不老不死なのは知ってるよな?」
「はい。ずっと昔から生きていると聞きました」
「アイツは新月の一日は死に値する激痛に襲われる。それがアイツに与えられた不老不死の黒薔薇の呪い」
死に値する痛み、か。
ぎゅうっと膝に置いたリュックを抱きしめる。
「呪いを解く方法はないんですか」
「あるさ。だけど……これを聞いたならオマエは呪いを解かないだろうなァ。加えて自分を嫌悪する」
車が止まった。学校に着いたのだ。シッシッと夜叉さんは追い払うような仕草をする。もっと問い詰めたいけれど助手席から降りて、ありがとうと頭を下げた。
「それでも聞く決心がついたならまた俺のところに来な」
開いた助手席の窓から夜叉さんは私を見ながら言った。返事をする間も与えずに彼の車は急発進して行ってしまった。