私を導く魔法薬

取り返しの付かないこと

 彼は話し出す。

 人族の国に生まれた彼は、遠く魔族の血を継いでいることを幼い頃から聞かされていたという。
 ほんの少しの混血魔族の言葉が読めたのも、幼い頃に文字を見ることがあり記憶に残っていたせいだろう。

 そして普通の人族よりも少し遅めの成長に、深く悩んだこともあったそう。

 しかし幼い頃に聞かされ自分の中でくすぶっていた自分のルーツを知りたいと旅立つ決心をし、人族の国を出てきたのだ。

「俺はお前に出会うためにここに来たようなものだ。同じ魔族の血を継いでいる『仲間』だからな。仲間であるお前に無事会え、助けられたのも血の導きがあったおかげだと思っている」

 それでもダリアは扉越しに叫ぶ。

「…私は失敗をしたのよ…そんなあんたを私と同じ、魔族の半端者にしたのよ!!記憶は魔人のせいだろうとはいえ、魔力の暴走は私のせいだわ!そんな人間の姿で魔力を操れるなんて、あんたが私以上に周りに嫌われたら一体どう謝ればいいの!?」

 一人ではないせいか、いつも以上に出てしまう感情。
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