私を導く魔法薬
季節外れの吹雪と剣士
「…何よ、これ…!」
外に出るまでは何者かによる幻惑を見せられているのかと、まだ半信半疑だった。
しかし外に出てもやはり、気配も無くあれだけ暖かかった森が真昼を越した途端に冬のよう。
おまけに彼女が外に出て歩くにつれ、冷たい風が吹き始め、雪が降り始め、それはやがて吹雪に変わっていく。
魔力は感じるがそれは微弱であり、時折不安定なのか、吹雪は強まったり弱まったりを繰り返している。
するとダリアのしばらく前の方を、白い人型のものが横切ったのが見えた。
雪に覆われた木々や草、視界を白く覆う吹雪…
それでも確かに誰かが…
「誰よ、氷の季節でもないのに私の住む森を雪だらけにするなんて…!許せない!」
彼女は獣たちも眠るほど吹雪く森の、凍る草木を果敢に分け入り、そちらに近づいていった。
ダリアがその何者かに何とか追い付くと、それは立ち止まり振り返った。
全身に眩しく光る白銀の防具を身に纏った、中年らしい剣士姿の男。
この吹雪を起こしている者とは思えないほどの弱い魔力を放ち、彼女の方をぼんやりと見つめる。
一瞬のうちに吹雪は止まり、森の木々の隙間からは星までが覗いて見えた。
「…何者?」
彼女は怒りも忘れ、呆然とそう尋ねた。
「…分からない…」
覇気もなく、見た目に合わずしわがれた声。
人族などが亡くなるとなるという『亡霊』のような状態にも見えるが魔力も感じる。だからといって自らの意思でではなく魔力をただ纏っているだけのようにも思えた。
「…よく分からないけど、あんたがこの森に氷の季節を呼んだのね……」
彼女が近付こうとすると、男はビクリと震えた。
外に出るまでは何者かによる幻惑を見せられているのかと、まだ半信半疑だった。
しかし外に出てもやはり、気配も無くあれだけ暖かかった森が真昼を越した途端に冬のよう。
おまけに彼女が外に出て歩くにつれ、冷たい風が吹き始め、雪が降り始め、それはやがて吹雪に変わっていく。
魔力は感じるがそれは微弱であり、時折不安定なのか、吹雪は強まったり弱まったりを繰り返している。
するとダリアのしばらく前の方を、白い人型のものが横切ったのが見えた。
雪に覆われた木々や草、視界を白く覆う吹雪…
それでも確かに誰かが…
「誰よ、氷の季節でもないのに私の住む森を雪だらけにするなんて…!許せない!」
彼女は獣たちも眠るほど吹雪く森の、凍る草木を果敢に分け入り、そちらに近づいていった。
ダリアがその何者かに何とか追い付くと、それは立ち止まり振り返った。
全身に眩しく光る白銀の防具を身に纏った、中年らしい剣士姿の男。
この吹雪を起こしている者とは思えないほどの弱い魔力を放ち、彼女の方をぼんやりと見つめる。
一瞬のうちに吹雪は止まり、森の木々の隙間からは星までが覗いて見えた。
「…何者?」
彼女は怒りも忘れ、呆然とそう尋ねた。
「…分からない…」
覇気もなく、見た目に合わずしわがれた声。
人族などが亡くなるとなるという『亡霊』のような状態にも見えるが魔力も感じる。だからといって自らの意思でではなく魔力をただ纏っているだけのようにも思えた。
「…よく分からないけど、あんたがこの森に氷の季節を呼んだのね……」
彼女が近付こうとすると、男はビクリと震えた。