キミの翼が羽ばたく時。
私は拳をキュッと握ると言った。
「実は…金曜日参観日があって、お兄ちゃんに来て欲しいんだけど…」
沈黙が苦しい。

照れちゃうし、無理かもしれないし、不安だった。
だけど初めての家族と一緒の参観日に、お兄ちゃんが来てほしかったんだ。


「参観日?行く行く!イトコの約束はいつでもできるしな。」
お兄ちゃんがニコッと微笑む。
「よかったぁ~…」
私がため息混じりに言う。
「…実はね、私参観日誰にも来てもらったことないんだ。だからお兄ちゃんに来て欲しかったんだ……。」


「来てもらったことないの……?遊園地行ったこととかも?」
お兄ちゃんがキョトンとして言う。
「うん…行ったことない。」

ガタ……と言う音と同時に、お兄ちゃんが私を突然抱きしめる。
「お兄ちゃん!?あの…その…」
私が狼狽えていると、お兄ちゃんが口を開いた。
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